「ここすごーい!」
「夜だからあんま花見えないけどな」
「でもここスッキリする」
このホテルにはガーデンがあった。
部屋でパンフレットを見たときからずっと来たかったんだけど、男1人でガーデンはちょっときつかったからさ。
来れてよかった。しかも愛川となんて。
この場で飛び上がりたいくらいめっちゃ嬉しい!
「ココ座ろう?」
「あぁ」
椅子までおしゃれ。
「ここ、あそこと似てる」
「あそこって?」
「ほら、前に坂井に連れてってもらったお花畑!すごく似てる!」
「確かにな。チューリップもあるしな」
「でしょ?また連れてってね!」
「いつでも連れてってやる。愛川だけ特別にな!」
「やったー!!」
「そんな動くなって。椅子が揺れてる!」
まぁ、嬉しい気持ちはわかるけどな。
「あたし、部屋寂しんだよね~」
愛川は急に変なことを言い出した。
「このホテルの部屋広いじゃん?だから1人じゃなんか心細くて…」
そう言う愛川の表情はチラッとしか見えなかったけど、ほんとに寂しそうだった。

