「あの、もう一回温泉入りたいんだけど、なんか暗くて怖くってさ、一緒に着いてくれない?」
「いいけど…」
今日は本当に素直なんだな。
二人とも無言のまま温泉に到着した。
「ありがと。もう大丈夫だから」
もう一度ありがとうと言って愛川は温泉に消えてった。
俺は、戻ろうとしたら優斗ののんきな声が聞こえてきて足を止める。
「なんだよ、優斗」
「なんでこんなところにいるんだ?まさか俺に会いたくて?」
「んなわけねーだろ。愛川が温泉入りたいって言うからついてきただけ」
「お?優心ちゃんといい感じじゃん!やるじゃんかよ!
さっきも散歩じゃなくて優心ちゃんと一緒にいたんだろ?」
優斗の言葉に俺は黙ってしまった。
「やっぱ、図星か。帰ってきたお前、やたらニヤニヤしてるからもしかしたらって思ったけどまさかね、春樹がね」
「からかうなよ優斗!」
「まぁよかったな。お前の恋応援するからな」
「サンキュー」
「でも、優心ちゃんはお前の気持ちに気付いてないしな、可哀そうに春樹」
「うっせよ。これからガンガンアピルし」
「まぁ頑張れ!」
「こんなとこでしゃべってないで早く部屋戻るぞ」
俺は歩きだすのに、優斗はその場に立ち止ったままで。
「優斗?!」
「春樹、お前優心ちゃんの事心配じゃねーの?待っててやれば?俺は先に戻ってるからさ」
「わかった」
「即答かよ。じゃな」
俺は優斗と真逆のほうに足を進めた。

