「トランプしよーぜ?UNOもあるぜ?」

長瀬くんは聞くのを諦め、バックからトランプを取りだした。

そのあとも、「ビンゴもあるぞ?」といろんなものを出してきた。

それを見てたら、よっぽどこの旅行を楽しみにしてたんだなってことが分かる。

「トランプって修学旅行ぶりだな」

「だよな」

ほんと坂井と長瀬くんって仲良しだよね。

「二人って中学から一緒なの?」

「そう。っていっても俺は中学1年の二学期に転校したんだ。それで最初に声を掛けてくれたのが優斗だったわけ。それで仲良くなったんだよな」

「あぁ、最初はあったらケンカだったよな。2年でクラス離れて3年でまた同じクラスになってさ。第一志望の高校が同じってこともあって仲良くなったんだよな」

「へ~。あたしから見ても二人はちょー仲良しって感じ」


「まあな。自慢の親友」

ズキン…


親友という言葉に胸が痛む。

「そっか。うらやましい…そんな親友がいて」


親友…あたしにとっては一番聞きたくない言葉だ。


この話題を掛けたくてあたしは「早くトランプしよ」と言うと、「だな」と長瀬くんがトランプをしゃっふりし始めた。