「坂井ーーー」

ドアの前で名前を呼ぶ。

「…………」

だけど、返事はない。

部屋にはいないみたい…

じゃ、ロビー行こっ

そう思い部屋の前から立ち去ろうとした…

「愛川?」

そう名前を呼ばれた。

振り向くと、坂井と長瀬くんがいた。

「やっと見つけたよ、優心ちゃん!」

「ずっと探したんだぞ?」

「ごめん…」

「あれ、優心ちゃん髪濡れてる」

長瀬くんがあたしの髪を指さす。

「あ!温泉入ってきたんだ~」

「「いいな~」」

「いいでしょ?気持ちよかった~」

「俺らなんてドライヤーの取り合いだったからな」

「ふふ、でも二人らしい…」

「なんだよそれ!てか、これから海行くぞ?水着に着替えてくる?」

「うん、そうする」

「じゃ、俺らはロビーで待ってるな」

部屋に入り、キャリーバックの中から水着を取りだした。

出てきたのは、この前麻衣ちゃんと買った花柄のビキニ。

それを見て、顔を真っ赤にするあたし。

ふと入って鏡に映るあたしの顔はリンゴのように…いやリンゴより真っ赤だった。

そんな自分を見て、すごく恥ずかしくなった。

こんなんで、坂井の前でビキニ姿になれるのだろうか…?

ってか、最近あたしの頭坂井でいっぱいなんだけど…どうして?

てか、この気持ちはなに?

――――――……その気持ちの正体に気づくのはまだまだ先みたい。