あふれるほどの愛を


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「あらま、三人ともびしょびょじゃない!」

牧田さんはあたしたちをみて目を見開いた。

「う…あはは」

あたしは、笑うことしかできない。

だって、あたしはあのあと水をかけたり、かけあったりして、服はびちょびちょ。髪も濡れ、プールに入った人みたいになっていた。

「くしょん!!」

おまけにくしゃみまで出てる。

「あら、くしゃみも出てるじゃない。露天風呂に入ってくれば?このままだと風引いちゃうから」

「じゃ、お言葉に甘えて。露天風呂は10階に行けば分かると思うから。わからない事はなんでも聞いてね、優心ちゃん」


「え?」

いきなり名前で呼ばれ、びくっとする。


「仲良くなりたくて。よろしくね、優心ちゃん。それに心細いでしょ?女の子1人で」

「正直…さみしいです」

「そうだよね、あたしになんでも言ってちょうだい」

「はい!じゃ、露天風呂いってきます!」

坂井たちは先に部屋に戻ったみたいで、あたしは早足で部屋に向かった。