――――かわっ!あいかわ!愛川!
誰か、呼んでる?
不意に肩を叩かれあたしは目を開ける。
目を開けてぼやける視界に映ったのはドアップの坂井の顔。
「うわっ」
驚いたあたしはあたまを思いっきりシートにぶつかった。
「もう、お驚かさないでよ!」
「だって愛川がなかなか起きないのが悪いんだろ?こっちはずっと起こしてんのに」
「もう長瀬くんは起きてるよ」
「そうそう。愛川が寝たと思ったら優斗が起きてさ。三人でボーイズトークしてたんだぜ?」
「ガールズトークなら聞いたことあるけどボーイズトークはあたし聞いたことないんだけど」
「俺は聞いたことあるな。だって女子だけあるのに男子はないなんて…おかしいじゃん」
「まぁ、どっちでもいいけど…」
「みなさーん!右を見てくださーい!ジャジャーンうみでーす」
そう言われて見てみると…そこは一面海・海・海!!
「わーーー!キレい!!」
「早く泳ぎてー」
「BBQしてー」
三人とも、いやお兄さんも海を見てテンションMaxみたい。
もちろんあたしもね。
海なんて、何年ぶりかな…
久しぶりに見た海は、雑誌で見るよりもテレビで見るよりも輝いて見えた。

