バックの中をあさっていると、今朝おばあちゃんが持たせてくれたサンドイッチが出てきた。

そして目の前にある肩を叩く。


「坂井、サンドイッチ食べない?」

「お!うまそうじゃん、食う!」

「はいっ!」


坂井はサンドイッチをパクッとあっという間に食べてしまい、もう一個もう一個と食べてしまってたくさんあったサンドイッチは空っぽになってしまった。


「もう!あたしは一つしか食べてないのにぃ」

「ごめんごめんって。でもおいしかったよ?」

坂井はあたしを覗き込むようにしながら見る。

「そんなことしたって許さないから!!」

「あらあら、お二人さんケンカしちゃだめよ?」

運転をしているお兄さんは笑いながらこっちを見てる。


あぁ、今信号待ちなのね。


「仲良く仲良く!でも村っちの言うとおりな二人だね」

「村っちって村田の事!?」

「こら、村田先生でしょ?はは。せんせー怖い?」

「怖いっていうか熱血教師って感じかな。お兄さんは村っちの友達?」

「村っちって言っていいのは俺だけだよ?俺は村っちの元生徒なんだ」

「まじかよ!?」


ずっと話を聞いてた坂井がびっくりしたのか大きな声を出す。


「マジです。叱られてばっかだったな。でも村っちはいい先生だよ」

「えーー?嘘だぁ」

「ほんと。愛川さんが困った時は村っち助けてくれると思うよ」

「ないね」

「そう思ってな。いつか愛川さんもいい先生だって思える日が来るよ」

「信号、青だよ青!!」

いつの間にか信号が赤になってたみたいで坂井がまたもや大きな声を出す。


「愛川、サンドイッチごちそうさま」

「いーえ」

「でも、愛川が作ったサンドイッチじゃないな」

「え?なんでわかったの――――?」

「愛川の料理は食べてるからな」


「そこのお二人さん!なんか音楽かける?それともDVD見る?」

「音楽がいい!」

「りょーかい!」

しばらくして流れてきた音楽。


それはあたしの好きな歌手の歌で。


その曲を聞いてるうちに眠くなってきてあたしの好きな音楽とともに目を閉じた。