「坂井くんと、愛川さんかな?」
「「はい、そうです」」
坂井とあたしの声が重なる。
「そう!聞いてるよ村田せんせーから。もう一人長瀬くんは?」
その言葉にあたしは苦笑い。
「爆睡しちゃって。でもそろそろ来ると「優心ちゃん手伝って」
坂井の声は麻衣ちゃんに遮られて…。
「あ、貸し切りなのでどこでもいいですよ」
坂井にも手伝ってもらって無事長瀬くんを席に座らせることが出来た。
「じゃ、出発しますね。くつろいでてくださいね」
「はい」
あたしは運転手さん側の一番後ろの席。
坂井はあたしの前に座った。
窓を少し開け麻衣ちゃんに手を振るあたし。
「麻衣ちゃんバイバーイ」
「楽しんでおいでね~」
あたしたちを乗せたバスが駅を出発した。
麻衣ちゃんはバスが見えなくなるまでずっと手を振ってくれた。
それから、メールも来て《気をつけていってらっしゃい》と書いてあった。
メールからも麻衣ちゃんの優しさが心に染みた。

