「お母さんと仲良くやってる?」
一番言われたくない質問をされて、答えに戸惑ったが、「うん」と答えた。
「そう、よかった。優心ちゃん私に言いたい事あるでしょ?」
「えっ?」
「顔に書いてあるからさ。いってごらん」
そう言われて、あたしは意を決して口を開いた。
「5日の日ね、あたし友達と遊ぶ予定が合って、おばあちゃんといれないんだ」
「そんなこと。大丈夫よ、優心ちゃんの顔見れただけで十分。お母さんには言ったの?」
「言ってない。だめって言われるから」
「そう。楽しんでらっしゃいよ。どこ行くの?」
「え~っと」
「お母さんには言わないから大丈夫」
「海に行くの。だから朝早いんだ」
「そう、それは楽しみね。じゃ、ちょっと待っててね」
そう言っておばあちゃんは和室に行ってしまった。
「優心ちゃん、楽しんでおいでね。これ気持ち」
渡されたのは、茶色の封筒。
中を見てみると、2万円が入っていた。
「こんなに、もらえないよ!!」
あたしは封筒を戻す。
「もらってちゃうだい。高校入学祝いもあげてなかったし。海楽しんでおいで」
あたしの手を持って封筒を握らしたおばあちゃん。
「ありがとう」
「気をつけていってらっしゃい。
お母さんとうまくいってないでしょ?」
「なんで?」
「かんよ。なんかあったらおばあちゃん家に泊まりに来なさいよ。もちろんお母さんには内緒でね?おじいちゃんも待ってるんだから。今日ね来たかったらしいけど仕事がね。
おばあちゃんも、おじいちゃんも優心ちゃんの味方だよ」
そして、これもと電話番号が二つ書いてあったかみも渡された。
「家と電話番号。いつでも掛けてきて」
それからおばあちゃんにいろいろな話をしてくれた。

