あふれるほどの愛を


「寒かったでしょ?外にいて」

さっきからいろいろ話しかけてくれる麻衣ちゃん。

だけどあたしは「うん」としか答えられなくて…。

それでも、話しかけてくる麻衣ちゃん。


「着いたよ」

窓から外を見ると、目の前には豪華な家があった。

「ここね、私んち。親たちいるけど、気にしないで」

そう言って麻衣ちゃんは「こっち」と麻衣ちゃんの部屋まで案内してくれた。

「両親いるんだよね?」

「いるよ、けどあんま話さないからさ」

その言葉にこの前出掛けた時に言ってた話を思い出したが、深く聞いちゃいけない気がした。だから

「そっか」

と答えた。


「で、どうしたのかな?」

「え?」

「え?じゃないでしょ?あんなに暗い顔をしてたんだから理由があるでしょ?」

「ほんとになんでもないの」

「無理に話さなくてもいいよ。でも、話したくなったらいつでも話して。こんなところでよかったらのんびりしていって」

「で、でも」

「遠慮はなし!!今日は優斗帰ってこないみたいだし?」

「さっきメール来て。泊まるらしい、友達んちにさ。だからゆっくりしてって」

「ありがと」

「そうこなくっちゃ」

そう言って笑顔になった麻衣ちゃんは飲み物を取りに行った。