声が枯れるんじゃないかってくらい夢中になって歌ったけど、スッキリしなかった。

スマホを見ると、もうカラオケに入ってから2時間たっていた。

あたまに浮かび上がるのは最後に見た悲しそうな坂井の顔。

これから、海行く予定だってあるのに…

あんなこと言っちゃったから、合わせる顔なんかない。

「ど、どうしよ…」

自然に口からこぼれる言葉。

そのあとはため息しか出てこなくて…カラオケを後にしたんだ。



嫌々足を家に進ました。

でも、家にはなかなか入る気がしなくて、ボーっっと家の前で立っていた。


「優心ちゃん?」

暗闇の中から、あたしを呼ぶ声がした。

振り返るとそこには麻衣ちゃんが立っていた。


「麻衣ちゃん…どうしてここに?」

「優心ちゃんに会いに来たの。どうしたの?暗い顔して」

「してないですよ?元気元気!!」

無理やり口を持ち上げて笑った。

すると目の前の麻衣ちゃんの顔からはさっきの笑顔は消え……

「優心ちゃんらしくないな。作り笑いばればれよ?」

俯くあたし。

「こんな暗い所じゃなくてさ…車乗って」

「ほら、入って入って」

その場から動かないあたしを無理やり車に乗せた麻衣ちゃん