それから、坂井といっしょにテレビを見たり、一緒に宿題をしたりした。
坂井ってなんでも出来そうに見えて勉強はだめだめみたい…
あたしの中での坂井のイメージはなんでも出来て好きのない人だったから勉強が全然できないと知ってなんかそのギャップに笑ってしまった。
「おい!笑うとかヒドくね?」
「だって、あたしよりばかって笑える!」
「笑い過ぎ…でもサッカーはプロ並みだからな!!ってか聞いてる?!」
「聞いてる聞いてる」
「ぜってー聞いてねーな」
あたしの泊まらない笑いに坂井もやや苦笑い…
「そーだ!」と坂井が手を叩いた。
そこであたしの笑いは止まった。
「なに?」
「今日泊まって行けば?」
「いいね~とま…」
「泊まる!」って言おうとしたがあることを思い出した。
「だめだった。明日から母のほうのばあちゃんが来るんだよね」
しかも泊まりで…
明日からあたしはなにがなんでも家に居なくちゃいけないんだ。
あたしにとっては地獄の日々……
「そっか、それじゃあしかたねえよな。で、いつ帰るんだ?」
「それが…海行く日の前の日」
あたしの声がどんどん小さくなって言ってるのが自分でもわかる。
「マジかよ!?抜け出せねーの?」
「そんなのできないに決まってんじゃん!家にいてって言われたし」
なんでそんなことまでしていい家族を作りたがるのかあたしにはわからないけど。
だって、もうあたしに対して何にも思ってないのに自分の親には家族仲いいって思わせたいだけなんだから。
ほんと、おとなって勝手。

