「俺、ステーキで。愛川は?」

「じゃ、トマトパスタで」

料理を注文し終わったあたしは、近くにあった水を飲み干した。

「そんなにのど渇いてたのかよ」

「うん。てか、なんでこんなに遠くのファミレスに来たわけ?」

そう。

坂井の選んだファミレスは学校からすごく離れたところにあった。

わざわざこんな遠くに来なくても…

「まぁいいだろ。
ってかなんかあっただろ?最近笑ってねーよな。それがどうしても気になったんだ」


なんなの?

なんで坂井はあたしの心を読むの?

なんであたしにそこまでしてくんのよ…

「どうしてねぇどうして?なんであたしにそうやって優しくするの?」

「あたし…「おおい!愛川どした?」

あたしの気持ちがああふれてきた。

坂井が話しかけてるけど、そんなのおかまいなしにあたしは気持ちをぶつける。

麻衣ちゃん達と出掛けた時は幸せだって本気で思ってたけど、家に帰った瞬間それはぶち壊された。

毎日さんざん悪口を言われ、部屋の中で泣くなんてもう日常茶飯事になっていた。


「あたしはいらない子なんだって。家に帰ってくんなだって。それって家族がいうのかな?あたしもう家族って分かんないや」

いつのまにか坂井は、あたしの横に居てくれて。

「泣けよ。泣きたい時はなけって!そう言ったよな俺に。たくさん泣けよ。ずっとお前から離れない。隣に居る」


「うわーん」

坂井に抱きしめられて、涙腺が弱ったあたしは子供みたいに泣きだした。


ファミレスにいるということを忘れるぐらい…


泣いた…。