「おれにこんなこと言わせるなよな」
「なによ!自分が言ったくせに!」
「そうだな…」
「でも、営業スマイルじゃない最高の笑顔だったよ?」
「まじか?それは愛川のおかげだな」
「へっ?」
あたしは、坂井の言葉に変な声を出してしまった。
だって、意味わかんないことをいうから…
「もうあたし寝る!」
雰囲気をどうしても変えたくて…
とっさに出た言葉がこれだった。
「分かった。ドライヤーはもうおわったから」
「部屋にテレビもついてるから見てもいいからな」
「りょーかい!」
そう言って、部屋に入った。
「あっ!坂井麦茶飲みたいっ」
「届けまーす」と言ってキッチンに消えた。
「ほら、愛川~お土産」
そう言われてドアのほうを見ると麻衣ちゃんがいた。
「ほら麦茶!麻衣ちゃんもあげる」
そう残して坂井は隣の部屋に行ってしまい…
残されたあたしと麻衣ちゃん。
「大丈夫?」
恐る恐る聞くと、「大丈夫!」と笑顔で答えた麻衣ちゃん。
「じゃ、私たちは寝ますか!」
「うん。テレビみる?」
「わたしは大丈夫。優心ちゃんは?」
「あたしも平気」
「じゃあ…」
麻衣ちゃん真剣な顔であたしを見て来る。
なに、なに?
不安になりそうになるあたし。
だって、麻衣ちゃんが見つめてくるから。
だけど、次の瞬間麻衣ちゃんの顔が笑顔で満ちて。
「ガールズトークしよ!!」
「えっ」
思いも寄らない枚ちゃんの言葉にあたしはそんな言葉しか出てこなくて…
「どーした?まだ眠い?」
「いや、真剣な顔してたから…なにか言われるのかなっておもっちゃった」
「あらあら、あたしは怒らないわよ。優心ちゃんにはね!」
そしてあたしたちは坂井が用意してくれた布団を引くと、布団の中には入らないで、布団の上で座りながらガールズトークをし始めた。
今日一日ずーっと一緒にいたのに、話は止まることがなかった。
寝たのは、外がやや、明るくなってきたくらい。
だって、ガールズトークにはまっちゃって。
朝から夜中まで騒いだのも
ずっと笑顔が耐えなかったのも
笑いすぎてお腹が痛くなったのも
今日がはじめて。
たくさんの思い出をたくさんもらった日。
坂井
長瀬くん
麻衣ちゃん
“かけがえのない時間”をありがとう…。