――――――バサっ



気づいたら、あたしは目の前に居る彼を抱きしめていた。
自然に、体が動いていたんだ。


「泣きなよ?さっきのあたしみたいに。別に男子が泣くのだって普通だし。」


「みっともないだろ?みんなの人気者が。」


「むかつく。我慢してたって辛いだけじゃん。たまにはさ、自分捨てて思いっきり泣けば?誰も笑わないよ。」

「ハハッ、じゃあ自分捨てるわ。」


そう言って彼は、静かに泣いていた……。



静かな教室に、彼の泣き声だけが響いていた――――。