あふれるほどの愛を


しばらくして、麻衣ちゃんはあたしに昔の話をしてくれた。

「あたしもね。今はこんな感じだけど、昔は色々あったのよ。家族とうまく行かなくてさ、家出何回したか分からないくらい。夫婦喧嘩はすごくて、毎日というほどお皿の割れる音が聞こえてね。部屋でビスビクする日々。それがやんなって家を出たのこれ誰にも言ったことないけどね、家族旅行行ったことないのよ」


え…

「驚いた?今は家族四人で暮らしてるけど、家の雰囲気は家族なの?って感じ。
ご飯とか別だしね。だからよく友達とか誘って旅行行くんだ。優斗も誘って。それが私の家族旅行って感じ。友達がいてくれなかったら、あたしはどん底から立ち上がれなかった。

毎日けんかしてる家なんか帰りたくないじゃない。

家族ってね。唯一ありのままでいれる場所で、どんな姿を見せても嫌いにならなくて、どんなことが起きたとしても味方でいてくれる人なんだって。そう友達に言われた時私の家は普通の家と違うんだって思った」

「そっか…」

なんて、麻衣ちゃんに声を掛けたらいいのか分からなくなった。

だって、瞳に涙を浮かばせてるんだもん。言われた時のこと思い出してるの?