「じゃ乗れるのはあと4つくらいか?」

「だな。なに乗る?まぁ最後は観覧車だよな」

「さんせー!」

長瀬くんの意見にあたしは両手を上げた。

「もう優心ちゃんったら」

そんなあたしの様子を見た麻衣ちゃんが笑いながら言う。

「じゃ、あれは?」


「やだ!絶対やだ!」

坂井の提案に首を大きく振って否定する。

だって、坂井が指差した先にあるのは、船見たいのが左右に動いているそんな乗り物。

あたしはこの乗り物が一番苦手。

前は、家族でよく乗っていたこの乗り物。

遊園地に行くと、必ずというほど乗っていた。

だけどーーー

…嫌な記憶が一瞬頭をよぎった。

「うっ…」

気持ちが悪くなって、あたしはその場にうずくまってしまう。

「大丈夫⁉」

みんなが駆け寄って来てくれる。

麻衣ちゃんは背中をさすってくれる。

「大丈夫…ちょっと、嫌なこと思い出しちゃって…」


「大丈夫なわけないでしょ⁉ベンチあるから座ろう?」

麻衣ちゃんに助けられながら、ベンチに座る。

「あたし、優心ちゃんと一緒にいるから優斗たちは何か乗って来なよ」

「でも、優心ちゃんが、、、」

「大丈夫よ。優心ちゃんには私がついてるから‼楽しんでらっしゃい」

“私がついてるから”

その言葉であたしの心がすぅーと軽くなった気がした。


なんでだろう…?

魔法がかかったかのように笑顔が絶えなかった。