あふれるほどの愛を


「ここ、遊園地って思えないほど暗くない?」


「確かに。別世界にきたみたい」

ここの遊園地にあるお化け屋敷は、少し離れたところにある。

そしてそこだけ妙に暗い。

「ほんとに出そうだな、これ」

長瀬くんが言いだしたはずなのに、当の本人は目の前にある入り口を見てびくびくしいる。

そんな姿に呆れた麻衣ちゃんが。

「あんたがこれがいいって言ったんだよね?優斗が遅かったらあたし置いて行くから!」

麻衣ちゃんは、お化け屋敷は大好きらしく、1人でも行けちゃうらしい。

「先、どっち行く?」

行く気満々の麻衣ちゃんが問う。

「どうする?麻衣ちゃん達先行けば?」


「じゃ、そうする!優斗なにそんなビビってんの、男でしょ!?」

意気地ないわね~なんて言いながら麻衣ちゃんはロッカーに荷物を詰め込む。

「あたしもロッカー」


「優心ちゃん一緒に荷物入れようよ」


「うん。このロッカー大きい」


「でしょ?飲み物も入れちゃっていいかしら」


「いいんじゃない?」


あたしはバック羽織っていたカーディガンをロッカーにしまうと、手前にジュースを置いた。


「カーディガン脱いじゃっていいの?」


「うん、暑くなっちゃって」


「そうだね。お化け屋敷入ったら、走って叫んで暑くなりそうだもんね」


「絶対走る!走っちゃだめって言われても走っちゃうよね~」


「分かる~」


麻衣ちゃんと盛り上がってると長瀬くんが言葉を遮る。

「おい!入るなら入るぞ!暗くなったらマジ怖い」


「分かったわよ!優斗はロッカーに入れるものない?」


「ある、財布とジュースとスマホ」


「優心ちゃん、ロッカーの鍵閉めといてくれる?優斗うるさいから連れて行くから」

そう言って麻衣ちゃんは怖がる長瀬くんを連れて、お化け屋敷に入って行った。