「あたし、人間なんか大嫌いだから」

あたしがそういうと、彼はうつむいてた顔を勢い良く上げた。

「は?」

「あたし、誰のことも信じてないんだ。だってそんなの無駄じゃん。人間自分が1番だし」

「お前…なんかあるだろ…1人で抱えてることあんだろ?」

彼にそう言われて、昔の記憶が少しシュックバックした。もう止まった涙が出てきそうだった。

「あんたに何がわかんの?あんたみたいな裏がありそうな人に話すわけないじゃん!!」

泣きそうな気持ちをこらえて言った。


「話すわけないって…、なんかあんだな?」

坂井は、なんか確信したみたいだった。

「ないって。ないない」

「あっそ。分かったよ。ってかお前俺のこと知ってるっしょ?」

嘘を着こうと思ったが、見透かされそうだったから正直に言った。

「知ってるよ。学年一の人気者だっけ??」

「やっぱか。お前3組に来てたことあったよな?」

えっ?
もしかしてあの時かな。隣の席の子が坂井の事話してて暇だから見に行ったあの日の事かな…?

「あぁ、クラスの子があんたの噂してたから、興味本意で。」

「興味本意って…なんだよそれって。」

フンッてあたしから顔をそむけた坂井に私は笑ってしまった。

「ぷっ。ハハハッ」

あたしが、笑ってると

「やっと笑った。」

と、ニッと笑った。

そしてこう言った。

「さっき噂でお前の事聞いたって言っただろ。お前の言ってた噂ってやつじゃねぇよ。」

「はぁ?」

「友達に聞いたんだ。俺のクラスメイトに明るい奴がいるって、それがお前だったんだよ。高校でお前の名前見つけた時、あいつの事だって会うの楽しみしてたのに、本人に会ったら、全然明るくなんてねぇし、冷めた目してるし、想像してた奴とは真逆だった。」