あふれるほどの愛を


「愛川?怖かったら俺に掴まっていいから。遠慮はするなよ?」


「うん…」

なんか、ドキドキしてきたぁ。

お兄さんがなんか説明してるみたいだけど、そんなの頭に入ってこない。

「もう出発だってさ」


「う、うん。あのさ坂井手貸して?」


そう言うと坂井は手を差し出してきた。

そして、ぎゅっと離さないと言わんばかりに握られた。

それだけで、なぜか温かい気持ちになった。


ーーーーカタンカタン

どんどん上にあがって行くジェットコースター。

てっぺんに行くと、下の光景が見えて…急降下した。

「キャーーーーーーー」

あたしは、坂井と握ってない左手を目の前の手すりにギュッとつかんだ。

後ろから「イエーイ!」という楽しんでる声が聞こえて来て…

麻衣ちゃんと長瀬くんだとすぐに分かった。

「うわーー」

隣りの坂井も声を出してる。

手まで挙げてるし。

でも、坂井の左手はあたしとずっと手を握っててくれてて。

ジェットコースターが一回転した時は、握ってる坂井の左手の力が強くなったけど…それでも終わるまでずっと握っていてくれた。

あたしはと言うと、ずっと叫びっぱなしだった。