しばらくして、彼が静かに口を開いた。

「なぁ、言いたくないならいいけど何があったんだ?」

あたしは、しばらく黙っていた。

「あんたには、関係ないでしょ。」

突然出た言葉がこれだった。

「なんだよ、愛川さん。」

「えっ?なんであたしの名前……」

「あぁ、泣いてた時は分からなかったんだけど、顔見て分かった。愛川さんって結構有名だよ??」

「なんであたしが?」

「言いづらいな。」

彼は気まずい感じで言った。

「誰とも関わらなくて、何考えてるか分からないとか?」

「え、あ正解。なんかごめん。いやな思いさせちゃったよな。」

彼は気まずそうにうつむいてしまった。

「なんで?いいじゃん。気にしてないし。」

彼は、まだうつむいたままだ。

「でも、その噂聞く前から、愛川さんの事は知ってたよ。」