あふれるほどの愛を


麻衣ちゃんに引っ張られながら連れてこられたのは、すごく有名なブランドの洋服のお店。

「じゃじゃーん!ここ私好きなんだ~」

「このお店って高いでしょ?」

「そうすごい高くて。最初は手に届かなかったんだけど、どうしても欲しくて欲しくて。我慢しようと思ったけど、やっぱりこのブランドの服が着たくてさ。だからバイト始めたの」

「バイト?」

「うん。バイトはしたくなかったんだけどどうしてもお小遣いじゃ無理でさ。でも初めて自分で買った服は今でも特別で。優心ちゃんはバイトしてる?」

「してない。やる気にならないから」

「必ずってわけじゃないしね。ここで突っ立ってないで行こっか」

あたしは、こんな高級なお店入るの初めてでなんか緊張してしまった。

そんなあたしに気付いた麻衣ちゃんがほらと手を差し出してきた。

あたしは麻衣ちゃんの手を取り、お店に入った。

「すごー。かわいい」

「でしょ?この前見た服でね、いい服見つけてね。今日優心ちゃんに会ってその服が優心ちゃんに似合うと思って」

「そうなんですか?でもあたしそんなお金…」

こんな高級な服買えるわけないよ。

「そんなこと優心ちゃんが気にしないの!」

「そんなことより、あったこれだ!」

麻衣ちゃんの手には可愛いワンピースがあった。

「可愛い~」

「でしょ?優心ちゃんはピンクっていうイメージなんだよね」

ワンピはピンク色でところどころ白い花が付いていた。

「で、でも短くない、これ」

「確かに短いね。でもなれるもんだよ何回も着てると」

「そういうもの?」

「そういうもの。決まりね」

「あ、あのお金は「チャリン♪」

「メールだ」

「あそこにベンチあるから座っていいよ?」

「分かった」

バックからスマホを取り出すと急に手が震えだした。

「なんで…」

画面には新着メール2と表示してあった。

見たくないという衝動に襲われそうになったが、深呼吸をし恐る恐るメールを開いた。

そこには坂井からのメールが2件入ってた。

一つは昨日のメールで「おやすみ」と一言書いてあり、

さっき来たばっかのメールには「今どこに居んの?」という文とさっきあたしに欲しい?と聞いたクマのぬいぐるみを持った写メが付いていた。

それにその写メにはご丁寧にこう書かれてあった。

『getしたぞー!』

このクマ写真で見ると大きい…

坂井の顔くらいあるんじゃない!?

そんな写メにあたしはふっと笑いをこぼしてしまった。