しばらくして、スマホをいじっていた長瀬くんが顔をあげた。

「着いたってさ。春樹も優心ちゃんもバック持って。行くよ」

着いたって誰のことなんだろ?

すごく気になったけど、長瀬くんに聞いても教えてくれなそうだし…

あたしはバックを持ち、玄関を出た。

すると…玄関の前には大きな車があり、その車の前には、若い女の人が立っていた。

なんでここにいるんだろう…?

そう思ってたら、玄関から坂井と長瀬くんが出てきた。

「おぉ。ねーちゃん今日はサンキューな」

ねーちゃん?ってことは長瀬くんのお姉さんってこと??

「お姉さん?」

なぜかあたしの言葉に反応した長瀬くんのお姉さん。

「そう!優斗の姉の麻衣(まい)といいます。もしかして優心ちゃん?優斗から話は聞いてるよ〜体調大丈夫?」

なんで名前…知ってるんだろうと疑問に思ったけど、あえてそこは触れないようにした。

「大丈夫です」

緊張してしまってあたしは下を向いてしまう。

「そんな俯かないで。今日はよろしくね優心ちゃん」

「こちらこそよろしくお願いします」

「ハハッ敬語なんて使わないで。全然ため語でオッケーだから!!」

「は、はい」

「ほらまた敬語になってる!」

そんなあたしに麻衣さんはかかさず突っ込む。

「よろしく…麻衣さん」

「麻衣さんだなんて。さんなんて付けないで。麻衣でいいよ」

「そんな!呼び捨てはちょっと…」

「難しい??じゃあ…麻衣ちゃんとか麻衣おねーちゃんとか?」

「じゃ、麻衣ちゃんで」

「了解!あたしは優心ちゃんって呼ばせてもらうね」

「どうぞ。あの…」

麻衣ちゃんに聞きたい事があり、口を開こうとしたが息を呑んだ。

そしたら、そんなあたしに気がついたのか口を開いた。


「あたしに聞きたい事?なんでも聞いて?」

え?あたし聞きたい事があるなんて一言も言わなかったのに…

なんて思ったけどあたしは言葉をつづけた。

「じゃ…なんで初めて会ったあたしにこんな優しくしてくれるんで、あっ!してくれるの?」

「ふふっ。よくできました!昨日優斗から電話が来てね。優斗から連絡来るなんて珍しいことだからさあたし驚いて。そしたらあたしに連れて行ってほしいところがあるって言われて。女の子もいるからって。普段だったら優斗のお願いは聞かないんだけど、優心ちゃんの話聞いてたら会いたくなってさ。だから来たの」


「そうなんだ。ありがとうございます!!」

「いえいえ。じゃあ出発しますか。後ろのお二人さんも準備オッケーかな??」

そんな麻衣ちゃんの言葉に後ろを振り向くと坂井と長瀬くんが丸マークを作っていた。