あふれるほどの愛を


オレンジジュースを飲み終わり、今あたしは寝室に戻ってきた。

着替えをするために。

そう、着替えをするために来たのに…すっかり忘れてた。

昨日ワンピースで家を出てきて、着替えなんて持ってきてないことを。

「どうしよ…」

しかたなく、ワンピースのままリビングに戻った。

そんなあたしに気付いた長瀬くんはすかさず声を掛ける。

「あれ?着替えに行ったんだよね?」

「あ…着替え家に忘れちゃったみたいで」

なんか長瀬くんの視線に耐えきれず、うつむいてしまう。

「じゃあさ、取りにいこっか」

「えっ?」

長瀬くんの口から出た思いもよらない言葉にあたしは目をまん丸にする。

「さっき、優心ちゃんは俺が思ってるような人じゃないって言ってたけどそんなことないって思うんだよね」

「なんで?」

「だって、春樹が心開いてる子だもん。いい人だよ、優心ちゃんは。自分で気付いてないけど優しさが伝わってくるんだよね」

「そんなこと…」

「あるよ!自分が気づいてないだけ。じゃ、取りに行こう?」

「取りに行こうって…ここからすごい遠いよ?電車で行かなきゃ…」

「全然いいよ。電車で行こう」

「で、でも…」

「大丈夫だって。行くよ?」

長瀬くんはそう言ってあたしの手を引っ張った。

そして二人で駅に向かった。