あふれるほどの愛を


やっぱりいつもと違う坂井に違和感を感じて、

「坂井、どうかした「海は絶対お前も連れて行くからな」

どうかしたの?と聞こうとしたのに坂井に遮られてしまった。

「何回言わせらば気が済むの?行かない」

「俺はお前を海に連れてく」

「さっきは無理には連れて行かないけどとか言ってたくせに」

「確かに言ったな。けど、愛川に元気になって欲しいから。」

「どーでもいいから」

「どーでもいいってことは行ってもいいってことだよな?」

「もう、勝手にしてよ…ってか誰連れてくわけ?」

「うーん。1人は優斗だな。愛川は女子1人じゃいやだろ?」

「勝手に別にいいけど」

「いや、良くないだろ。部屋割りとか、愛川1人になっちゃうだろ?」

「別にいい。1人には慣れてるし」

あたしは1人でも全然1人で大丈夫だって何回も言ってるのに坂井は聞いてくれず…

「だめだ。じゃあ、あの子誘おうかな」

あの子って誰のこと?

「彼女?」

「はぁ?んなわけないじゃん!」

「そんな大きい声出さなくてもいいじゃん」

「ごめんな。いとこだよ。愛川より2個上だから高3だな。いい人だから、仲良くなれると思うぞ」

「女子はあたし1人で平気。あたしそのいとこって言う人にひどいこと言っちゃうかもだし?失礼だから」

こんなの、嘘だ。

本当は怖いから。

誰かと仲良くなったり、自分のことを話したり。

「絶対連れて来ないで。お願いだから」

そんな想いを込めて坂井の腕を強く握りしめた。


「愛川どうして…」

「やだの。理由ないけど、やなもんは嫌なんだから」

「本当に1人でいいのか?でも俺がいるから平気だな」

そう言う坂井の横顔は珍しく頼れる男に見えた。