あふれるほどの愛を


「なに1人で百面相してんの?」

「なんでもないし。ってか、券三枚もらったんでしょ?誰と行くわけ?」

村田は確か、三枚って言ってた。

もう1人誰か誘って行けって。

「まだ決めてないけど…でも、もっと必要ならあげるって言ってたし。愛川も誰か誘えばいんじゃね?」

「あたし行かないって何回言ったらわかるわけ?ってか、友達あたしにはいないし」

「いないんじゃなくて、作らないだけだろ?」

「はぁ?あたしには必要ない。だから作らない。だたそれだけ」

「友達って言いもんだぞ?」

「友達なんていらない。一人がやだからってみんなとつるんでるだけでしょ?薄っぺらい友情ならあたしにはいらない」

友情…そんなものもう捨てた。

いらない。必要ない。あたしには一生。

「寂しいこと言うなよ。いるだろ?小学とか中学の友達とかさ」

坂井の声はだんだんと小さくなっているのに気づいた。

「いないって言ったら?同情するわけ?」

「別にしねーよ。いないならこれから作ればいーことじゃん?」

「作らないよ…一生ね」

ポツリと呟いた声に坂井は身を目を見開いてて。

「わかんねーよ?人の心は割と簡単に動くもんなんだから」

「は?意味わかんないから。あたしの心は動かない…絶対にね」

「俺だって、友達くだらないものだと思ってたんだ」

「えっ?」

坂井が発した言葉は小さくて聞こえなかった。

「なんでもない」

珍しく、焦っている坂井に違和感を感じたけど、あたしはなにも言えなかった。