あふれるほどの愛を


「さっき両親に言われた。あたしの存在がうざいんだってさ。ほんと笑えるよね。血のつながった親に言われちゃうんだもんね」

「笑えねーよ。俺わかってるからさ自分の存在を否定されることがどんなに苦しいことか。だから、無理しないで笑わなくていい。楽しくもねーのに笑ってたらそのうち、素直に笑えなくなるぞ」

俺は分かってるって、それは、坂井もそういう事あったの?

あのニセモノの笑顔の奥でなにを思い考えてるの?

坂井。あなたも何か抱えてるものがあるの?

「愛川?どうしたんだ?」

「ううん。ありがとね。あたしね……」

あたしの想いを坂井に話そうと思うけど、人間の不信感を思い出し言葉が出てこない。

そんなあたしを見てた坂井は。

「無理には何も聞かないから。けど、話したくなったらいつでも言ってな。まだ愛川の心には届かないかもしれないけど俺はお前の味方だ。覚えといて」

「なんで、そんなにあたしに自分から関わろうとするの?
あたしに関わった所でなにも得るものないじゃん」

「誰かと仲良くなるのに得とか損とかかんけーないだろ。仲良くなりたいかって気持ちだけだろ?」

そーかな?って思うところもあったけど、「そうだね」と応えた。

「話し変わるけど、海行こーな!!海はいいぞ。嫌な気持ちも洗い流してくれるし。なぁ?行こーぜ」

「やだ。行かない」

「なんでだよ?家族で旅行に行くから?」

「はぁ?行くわけないじゃん!!バカ‼」

ソファーの上にあったクッションを坂井に投げつけた。

家族家族って。

あたしにとっては、禁句なの。

「なに怒ってんだよ?海行こうよ…無理やりには連れて行かないけどさ、今日俺に連絡くれたって事は、家でなんかあったんだろ?違うか?

愛川は、自分で我慢できることなら我慢する奴だ。誰にも頼らない。でも今日は助けを求めて来た。それだけ辛いってことじゃないのか?家が一人きりでいるのが」

否定したいけど、確かにそうかもしれない。

限界なんかとっくに過ぎてたのかもしれない。

あたし、坂井に気持ち読まれてる?

今まで、あたしは隠して来た。

1人が怖いことも、寂しいことも周りには気づかれなかった。

でも、強いねとか、ニコニコしてて毎日幸せそうだとかそう言われるたびにすごく傷ついてた。

でも、ずっと笑って誤魔化してきた。

それを坂井に見透かされてしまうのかと思ったら、怖くなった。