「大丈夫か?」
時々坂井があたしを心配してくれる。
嬉しいんだけど、「うん」としか言えなくて。
「まだかかるからな」
「うん」
今まで気づかなかったけど坂井が着てるTシャツが汗で濡れてる。
あたしが、来てなんて言ったからだ。
申し訳ない気持ちでいっぱいになったけどでも、こんなに汗を流してまでもあたしの為に来てくれたんだって思ったら、嬉しくて嬉しくて。
目の前の背中に手を回した。
その瞬間、自転車がちょっと揺れた気がしたけど、気にしなかった。
もう自転車に乗って、30分以上たったのに着く気配がない。
一度坂井の家に行ったことはあるけど、電車だったから、何処らへんか分からない。
「着いたぞ。入って」
「お邪魔します」
「ごめんな、少し汚いけど」
「大丈夫。あたしこそごめんね…ってか、なんでさっき外で待ってたの?あたしが窓開けなかったら」
「ピンポン鳴らそうと思ったけど、なんか鳴らさない方がいいとおもってさ。おまけにスマホまで家に忘れちゃったし」
「そっか」
「早く部屋入ろうーぜ。」
すたすたと部屋に入って行く坂井に続きながら、ソファーに座った。
「ありがとな。電話くれて」
「えっ…あたしわがまま言ったのに」
「あんなのわがままなんかじゃないだろ。辛い時とか苦しい時は誰かに頼ったりわがまま言ったっていんだよ?バチなんか当たらないぜ?」
「あたしは、ウザい存在なんだって」
「えっ?」
あたしが急に変なことを言ったもんだから、坂井の手が止まって。

