乙女ときどき予知者




『あたしは―……』



―……グイッ!



「断る!!」



声と同時に後ろに引き寄せられた。



えっ―……?



涙で誰か分からないけど、間違えるはずがない。


聞き慣れた大好きな声……。



優しい温もり……。



ぼやけた視界から見える大きな手。



ふわりと香る甘い香り。


『ひろ……?』



あたしはゆっくり上を見上げた。



「なに泣いてるんだよ」


彼はあたしを見てフッと鼻で笑い、人差し指で涙を拭いた。



「悪いけど麻理菜は俺の彼女だから。誰にも渡す気ないから諦めろよ」



『えっ……』



彼は小声で「いくぞ」と言って、あたしの手を引っ張ってステージから降りていく。



やっぱり宙はかっこよすぎるよ……。



「あー逃げたぁ!!」