―……ギュッ。 宙は一歩前に出て、そっとあたしの手を握った。 『うん、助けてくれてありがと!』 「助けるのは彼女なんだから当たり前」 "彼女" どれだけ時間が経っても実感がわかない……。 あたし本当に……。 宙と付き合ってるんだ……。 あたしは幸せだよ―……。 だけど……。 「……じゃ行くか」 ……待ってよ。 先に歩き出す宙。 けどあたしは足を止めたまま。 ただ、強く宙の手を握るだけ。