乙女ときどき予知者




「……ひろっ!」



麻理菜が心配そうに俺を見つめる。



「見てわかねーの?ナンパしてんだよ!」



なに、自信げに言ってんだよ。



『そんなことを聞いてるんじゃねーよ。俺の彼女に何してんだって言ってるんだ。それとも校長に突き出してやろーか?』


ギューッと掴んだ腕に力を強める。



どーせ、こいつらまだ学生だろ。



校長という言葉を出すと青ざめた。



『まだ生徒会長にケンカ売るつもり?』



「もうやめとけ」



もう一人の男がそう言うと「チッ……」と舌打ちして俺の手を振りほどいた。


「行くぞ」



悔しそうに俺を睨み、人混みへと去って行った。