乙女ときどき予知者




その瞬間……。



―……ズキッ!



足に痛みが走った。



『……っ!』



「梓?」



痛みが顔に出てしまっていたのか、麻理はあたしの顔を覗き込んできた。


飛びつく前に捻った足が根をあげた。



ダメだ!



ここで痛がったら、麻理に迷惑かけちゃう……。


痛みに負けるな、あたし!!



『どう?あたし女優になれそう?』



顔を上げて痛みを誤魔化した。



「へっ?」



麻理は驚いて目を丸くした。



『演技だよ!これを見抜けないようじゃ、まだまだだね麻理』



痛みと裏腹に笑顔を振り撒く。



どんなに笑顔でいてもズキズキするのは変わらない。


「びっくりしたぁ!演技か!!本当に痛いのかと思ったよ!?」



『そんなわけないじゃん!!』



あたしはゆっくり膝をあげた。



『じゃああとはよろしくね♪』



「うん!あとで行くね」


麻理たちを体育館に残し、あたしたちは教室へ向かった。