乙女ときどき予知者




『お母さんただい……ま……』



俺は見てしまった……。


母親が知らない男と唇を重ねているところを―……。



思考が止まった。



……この男は誰だ?



……お母さんは何してるんだ?



……親父じゃないやつと何してるんだ?



わからない……。



分からない……。



「……ひろ……?」



驚いた顔で歩み寄ってくるお母さん。



なにも整理出来ていない頭。



「これには……わけがあるのよ?」



どんな理由があるんだよ……。



アイツを触った手で俺に触るな……。



お母さんが手を伸ばす。


―……バシッ!



『触んなっ!!さっさと帰れ!!!』