乙女ときどき予知者




「……くしゅん!」



俺のわがままに付き合って寒いの我慢してたんだな……。



『風邪引くと悪いし、帰るか』



もっと早く気づいてやればよかった……。



自分の事ばかり……。



「……大丈夫だよ?寒くないもん」



こんなに冷えた手してよく言うぜ。



俺は麻理菜の右手を握った。



そしてブレザーのポケットに握ったまま突っ込んだ。



『こうしてれば少しは暖かいだろ?』



麻理菜はパァーと明るくなり照れくさそうに笑った。



「うん!」



数歩歩くと、俺は違和感を感じた。



振り向くと彼女は足を止め、俯いていた。



『どうした?』



「……宙」



『……ん?』