乙女ときどき予知者




―……ジャー。



トイレから部屋に戻る途中、啜る音がした。



その音はリビングからだった。



こっそり覗くといたのは電話しているお母さんだった。



「……っ……パパ……どうしよう……あたし……あたしが……」



電話主は顔も知らないお父さんらしい。



いつも笑ってるお母さんから想像も出来ないくらい辛そうな声だった。



―……ギュッ。



胸が苦しくなって思わず服を握り締めた。