「すいません……どなたですか?」
俺たちの名前や自分の名前すら覚えていないなら当然親の名前も覚えているはずがない。
「お母さんのこと分からないの……?」
「ごめんなさい……」
真琴は申し訳なさそうな顔をした。
「星那サン……ちょっとお話が……」
今にも泣きそうな星那姉さんを桜木先生は病室の外へ呼び出した。
親父も姉さんに付き添い病室を出た。
「さっきの人……すごく悲しそうでした……悪いことをしてしまいました……」
『星那姉さんは真琴のお母さんだ。心配しなくてもいいから少しずつ覚えていけばいいさ』
一番不安なのは真琴なんだ……。
「そーだよ!あたしたちの前じゃかしこまらなくていいからね♪」

