乙女ときどき予知者




えっ……?



もしかしてこれって……。



『真琴。俺は宙って言うんだ。分かるか?』



真琴は首を横に振った。


「あたし……真琴って言うんですか?」



嘘だろ……?



自分の名前も忘れちまったのか……?



『桜木先生……これって……まさか……』



桜木先生は残念そうに俯いていた。



「……記憶喪失だ。何かよほど辛いことがあったんだろう……」



「本当に忘れちゃったの?あたしは梓だよ!」



「俺は真士」



「……ごめんなさい。梓サン、真士サン。良かったら名字も教えてくれませんか?」



「いいよ♪あたしは鈴宮梓」



「俺は金杉真士だ。よろしくな!」



『俺は今井宙だ。ついでに言うと真琴の名字も今井だからな?俺たちはいとこだ。』



「宙サン、梓サン、真士サンありがとうございます」



ニコッと微笑んだ。



冗談でやってるとは到底思えない。



じゃあ本当に真琴は……。



―……ガラッ!



「真琴!」



「星那……」