分からないまま足音だけが聞こえる。 ―……ポフッ。 頭に手が乗った。 この手は……。 『宙先輩……』 「……フッ。なんで分かるんだよ」 ゆっくり目を開ける。 『分かりますよ……先輩の手は温かいから。それに……先輩のこと好きだから!』 えへへって笑ってみせた。 宙先輩は頭を撫でてくれた。 さっきまで怖かったのに今はすっごく幸せ。 『あの……帝雅は?』 「ん……」と言って指を指した。