乙女ときどき予知者




恐怖で身体が動かない……。



それどころか身体は小刻みに震えるばかり。



追い討ちを賭けるように悪魔の笑みをしていた。


目は笑わない口だけ笑う。



まるでヘビに睨まれたネズミ。



それが恐怖で仕方なかった。



「麻理菜!」



心奈の声を聞き思わず肩がビクッ!と跳ねた。



心奈のもとに行きたいよ……。



でもこれ以上心奈を頼っちゃ行けない。



まだガクガク揺れる足を懸命に操り廊下を全力で走った。