乙女ときどき予知者




でもあの日とは違う。



もう目なんて瞑らない。


あなたの顔が見たいから。



止まった足はまた動き出す。



先輩の胸に飛び込むために―……。



―……がばっ!



『……ぱい……宙……先輩……』



あたしは先輩に思いっきり抱きついた。



いろんなことが重なって涙が溢れるばかりだった。



「……麻理菜……何があった?」



先輩もまたあたしを抱き締めてくれた……。



宙先輩の優しさに涙が止まることはなかった―……。