『その子誰ですか!?』
「……真琴……俺の……」
"真琴"……?
あたしの知らない人。
俺の……そのあとなんて言ったか聞こえない。
なんて言ったの……?
「じゃーな。麻理菜にはお世話になったよ」
宙先輩はその子の肩を抱き、あたしの前から消えるように歩いていく。
気づいたら足が動いてた。
『宙先輩!待って!!』
先輩たちはゆっくり歩いてるはずなのに追いつかない。
それどころかどんどん姿が見えなくなっていった。
『置いていかないで……宙先輩!!』
あたしの声だけが響き渡る。
『……うっ……置いて……ヒック……いかないでよっ……』
ポタポタ落ちる涙。
『……宙……せんぱーい!!』

