乙女ときどき予知者



黄軍1位だ!


みんな速い。



心奈にバトンが回った。


『心奈いっけぇ〜!!』



ダントツ心奈が速い。



心奈の次は……梓だ!



バトンが1位のまま梓に回った。



『あずさぁ〜頑張れ!!』


あれ?



さっきより速くなったような……?



もしかして手抜いてる……?



『あずさぁ〜!!』



梓ってこんなに速いんだ!



―……。



黄軍が1位をキープしてゴールした。



黄軍って競技強いのかな……?



二人とも戻ってきた。



『二人ともお疲れ♪めちゃくちゃ速かった!!』



「梓手抜いてたでしょ?」


心奈も同じことを思っていたらしい。


『あたしも思った!』



「あははっ。バレた?」


「分かりやすかった」



「途中から麻理の声が聞こえて本気だしたよ?」


……やっぱり。



「あたしも応援したんだけどな〜」



「もちろん心の声も聞こえたよ!」



「えー本当に?」



心奈がほっぺを膨らませて拗ねた。



「ほら、男子始まるよ」


あっ、誤魔化した。



『佐藤クン出るんじゃなかった?』



「応援しなきゃね♪」



膨らんだほっぺはみるみるうちに真っ赤なりんごに変わった。



『可愛い〜!!』



心奈に抱きついた。


和むなー……。