乙女ときどき予知者




目を開けると真っ白な空間じゃなくて真っ黒な世界になった。



真っ黒な世界に1つの白い影が見えた。


今度は真っ暗だ。


なんだろう……あの影。


近づくと分かってくる。


それは人であるってことが。



『……誰?』


静かな空間に響き渡る声。


アナタは誰なの?


アナタには声が届くの……?


その人は男で俯いてる。


そして彼は顔をあげた。


『えっ……』



声が届いたのかは分からない。


ただ分かるのはあたしは彼を知っている。


『……宙先輩……?』



どうして返事をしてくれないの……?


夢なら世界の暗さは何を指しているのか分からない。


『宙先輩!』


先輩はあたしに背を向けて走り出した。