せっかくの差し出してくれた手を握りたい。
でも周りの声と目が怖い。
握るのに手間取ってると宙先輩がボソっと言った。
「周りにイライラするから早く立て」
なんかめちゃくちゃ怖いんですけど!!
これ以上怒らせるのも悪いし握っちゃえ!
『ありがとうございます……』
「あー麻理!膝擦りむいてるじゃん!!」
「キレイに転んだもんな」
「保健室行こう」
『あっ……』
「いや、面倒だから俺が連れていくからカバン持って」
先輩にお姫様抱っこされてる。
上を見ると宙先輩の顔が間近に!?
――………。
あれ?
なんで浮いてるんだっけ?
周りもざわついてるような……。
浮く……。
人間って浮けるっけ?

