「私、細井くんのこと、好きかもしれない。」
ーー今、みんなの目が点になったかもしれない。
「え…?」
「ちょっ、ネコ、本気で言ってるの??」
「「「だって、あの細井だよ?」」」
友人みんなが口を揃えて、こう言う。
あぁ、もう、うるさいなぁ。
「…悪い?」
細井 一馬 (ほそい かずま)くん、というのは。
私のクラスの男の子で、あんまり人前で発表したり仕切ったりするのが、苦手な
いわゆる地味系男子。
いつも教室の隅っこで本を読んでいる。
「いや、悪くはないけど…。」
友人の一人が、困ったような顔をした。
私の顔を伺って、一生懸命言葉を選んで。胡散臭い笑顔が、浮いてる気がする。
言いたいこと、なんとなくわかってるよ。