ニヤリ、と笑う平助君に、プイッと顔を背ける。


何てことを言い出すんだ・・・この人は。



「・・・鈴」


「はい」



反射的に、名前を呼ばれると振り向いてしまう。


それと同時に、唇に触れる温かい感触。


それが、平助君だと、気付くのに時間は掛からなかった。



お互い、真っ赤な顔。


一瞬だったけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。



でも、これがやっぱり幸せだったりして。



「鈴、お誕生日おめでとう。

そして――――生まれてきてくれて、ありがとう」



やっぱり、涙は止まってくれない。


君との狭間で、わたしはもがき続けるのだろう。