「そっか・・・ありがとな、一条」
吹っ切れたのか、先ほどの陰りは一切見えない。
晴れ晴れとした表情で、笑っている。
俺は頷き、また団子を口に放り込む。
「じゃ、俺はもう帰るわ。本当・・・ありがとな。
また会えたら、一度手合わせ願いたいものだ」
「はい、こちらこそ!!では、またいつか」
店の暖簾をくぐり、歩き去っていく彼の背中。
きっと、時代の重しが圧し掛かっている。
でも・・・この人は、きっと何かを残していく。
強く、強く香る・・・残り香を。
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