大音量の蝉の声が木霊する、壬生寺の境内。 そこへわたしは、逃げるように駆け込んだ。 「はぁ・・・」 こんなことしても、意味無いのに。 後ろから走って来たのだろうか。 永久さんにまで、迷惑かけて・・・ こんなことしても、平助君の気持ちが分からないんじゃ・・・馬鹿みたい。 息を整えながら、境内の階段に腰を下ろす。