本棚の並ぶ部屋に入った栄生は、昨夜ちゃんと梢が栞をいれた本を持ってパラパラと捲る。 カチャカチャと皿を洗う音が台所の方から聞えた。梢が洗っているらしい。 縁側に座って後ろ手をつく。夜の空気を肺一杯に吸い込んだ。 散った桜が綺麗で、美しくて、怖い。 そんな気持ちが、あの大型犬に分かるだろうか。