「マルメロよ、出来上がったぞ!」
まだ早朝だというのに、ハンノキは大声でマルメロを起こしにきました。
マルメロは、気持ち良く寝ていたのに起こされたことに苛立ちます。
「どうだ?金のペンダント、マルメロの願い通りか?」
ハンノキは、マルメロにペンダントを渡しました。
寝ぼけた頭を、無理矢理起こしてマルメロはペンダントを受け取ります。
「そっくり…」
マルメロは思わず呟きました。
マルメロの持っているペンダントと同じ形だからです。
ハンノキは笑いながら言います。
「金の加工なら1番の奴にやらせたのだ!なかなかのもんだろ?」
「はい。まさか、ここまで私の想像通りの物が作られるとは思ってもいませんでした」
「そうか、そうか。満足したようだな!わざわざ、隣町まで依頼した甲斐があった!」
「隣…、隣町ですか」
「そうだ!隣町だ!がははは!」
マルメロは、一気に気分が悪くなります。
自分に贈られたペンダントも、きっと同じ所で作られたものだと思ったからです。
「これじゃ、本当に親友みたいじゃない」
マルメロは、ため息をついてしまいました。
しかし、すぐに気分を切り替えベッドから起き上がりました。
今日は、お直しに出していたドレスが戻ってくるからです。
式は一週間後、もう直にサイネリアとの再会を果たすのです。
その事を思うと、マルメロは力が出ます。
「サイネリア、覚悟しときなさい」
マルメロは、立ち上がり朝の身支度を始めました。
午後を回った頃、マルメロが依頼していたドレスが届きます。
「あぁ、やっぱり綺麗」
そのドレスとは、マルメロが自分で作り上げたラベンダー色のドレスです。
少し華やかさを付け加えてもらうと、ドレスの美しさが増しました。
ハンノキは、このドレスを見て喜びます。
「なんと!これは、ワシらが出会った日に着ていた物ではないか!?マルメロよ、可愛らしい事をするな!」
マルメロは「馬鹿」と思いながらも話しを合わせます。
「ええ。ハンノキ様との思い出のドレス。これを、友人の結婚式に着たいと願っておりました」
本当は、サイネリアへの挑戦の意味があるのです。
「もう一度、あの時間から勝負よ」
マルメロはドレスを抱きしめ気合いをいれます。
呑気にも、ハンノキは嬉しそうに笑っています。



